台湾のスマートフォン・携帯情報端末メーカー大手の宏達国際電子株式会社(HTC)がそのVR(ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実)技術を芸術分野にも広げている。このほどフランスのアーティストのVR作品制作に協力、作品は「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」で発表されることになっており、主流芸術界がVR技術を認めた象徴的な出来事となる。
HTCのVRプログラム、「HTC VIVE Arts」はフランスの現代芸術家、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル(Dominique Gonzalez-Foerster)さんのVRアート作品、「Endodrome」の制作をサポート。仮想現実のインスタレーションであり、ドミニク・ゴンザレス=フォルステルさんにとって初めてのVR作品だという。
今回の「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」は、「May You Live in Interesting Times」がテーマ。デジタル技術を応用した作品が数多く展示されることになっており、一般の芸術界がVR、AR(拡張現実)、AI(人工知能)などのデジタル技術によって生み出された芸術作品を認めたことが広く示される。開催期間は今年5月11日から11月24日まで。
「Endodrome」を制作したチームは、全体的なまとめ役のLucid RealitiesとVR工房のNovelab。一度に5人が参加するステージで、「交霊会」(死者の霊とのコミュニケーションを図る会)のような場面にインタラクティブなVR体験を結び付けた。タイトルのうち「Endo」はギリシャ語の「endon」が元で、意味は「心の中」もしくは「内部」。「drome」はギリシャ語の「dromos」から来ており、意味は「ランニング」や「レースのコース」。Endodromeでは参加した人たちに心の奥底を探らせ、普段とは異なった意識の状態を体験させるという。